ドラマ24「ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-」原作『記憶(きおく)』見どころ感想

『記憶(きおく)』は、人間の脳に刻まれた「忘れ去りたい過去」と「記憶の改ざん」をテーマにした、静かで、だからこそ底知れぬ恐怖が残る心理ホラーの名作です。

お探しの通り、こちらは『伊藤潤二傑作集 6 路地裏』に収録されています。

派手なモンスターや超常現象ではなく、「自分の頭の中(記憶)が信じられなくなる」という精神的な恐怖を描いた本作の見どころと魅力をまとめました。

『記憶』のあらすじ

主人公の女子高生・きよみは、最近、自分の「過去の記憶」に奇妙な違和感を抱いていました。幼い頃の幸せな思い出のはずなのに、なぜかディテールを思い出そうとすると頭にモヤがかかったようになってしまうのです。

そんな中、きよみは自分の体にある「不自然な傷跡」や、周囲の人々の奇妙な言動から、自分の記憶が「誰かによって都合よく書き換えられているのではないか」という疑念を持ち始めます。真実を突き止めるため、自分の過去を遡っていくきよみ。しかし、隠された本当の記憶の扉を開けたとき、そこには想像を絶する悍(おぞま)しい真実が待っていました……。

ここが怖い!3つの見どころ

1. 「自分の過去が信じられない」というゲシュタルト崩壊

人間にとって「記憶」はアイデンティティそのものです。それが「実はすべて偽物かもしれない」と気づいていくプロセスが、サスペンスとしてもホラーとしても非常に秀逸です。じわじわと足元が崩れていくような不安感に、読者も一緒に呑み込まれていきます。

2. 伊藤先生お得意の「人間の狂気的なエゴ」

なぜ彼女の記憶は改ざんされていたのか? その理由が明かされたとき、怪異の正体よりも「人間の身勝手な執着とエゴ」の恐ろしさにゾッとさせられます。幽霊よりも、生きている人間の歪んだ愛や自己保身の方がよっぽどホラーであるという、伊藤作品の真骨頂が味わえます。

3. 記憶が「視覚化」される瞬間の不気味な作画

頭の中のモヤや、封印されていた凄惨な過去のビジュアルが、伊藤先生独特の緻密でどこか美しいタッチで描き出されます。現実と虚構の記憶が脳内で混ざり合い、パニックに陥っていくきよみの表情の描写は圧巻です。

 傑作集6巻(路地裏)の中での魅力

表題作の『路地裏』が「閉ざされた空間(場所)に宿る恐怖」を描いているのに対し、この『記憶』は「脳内という、最も個人的で逃げ場のない空間に宿る恐怖」を描いています。

読み終わった後、思わず「自分の子供の頃のあの思い出は、本当に現実だったのだろうか……?」と、自分の記憶さえも疑いたくなってしまうような、現実を侵食してくる不気味な余韻を残す名作です。

「ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-」原作『顔泥棒(かおどろぼう)』見どころ感想

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