ドラマ24「ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-」原作『顔泥棒(かおどろぼう)』見どころ感想

『顔泥棒(かおどろぼう)』は、伊藤潤二先生の初期の名作であり、「アイデンティティの喪失」と「他者への異常な依存」を描いたゾッとする心理ホラーです。

先ほど紹介テキストをいただいたドラマ「ストレンジ」でも、山﨑七海さん(町田由美役)と星乃あんなさん(亀井役)での実写化が決定して話題になっていますね!

実はこちらの収録先ですが、現在は『伊藤潤二傑作集 1 富江 上』(または『首吊り気球』などの短編集)に収録されていることが多いのですが、その独特な不気味さと見どころを詳しく解説します。

👤 『顔泥棒』のあらすじ

主人公の女子高生・町田由美は、人の顔色を窺うのが苦手で、他人の顔がすべて同じように見えてしまうという悩みを抱えていました。 そんな彼女が転校した学校で出会ったのが、どこか不気味なクラスメート・亀井(かめい)です。亀井は由美に異様なほど執着し、ストーカーのように付きまといます。

やがて由美は恐ろしいことに気づきます。亀井の顔が、日に日に由美の顔そっくりに変化(コピー)していっているのです。他人の顔を盗む「顔泥棒」である亀井の真の目的とは……。

ここが怖い!3つの見どころ

1. 「自分の顔が他人に奪われる」という根源的な恐怖

自分のアイデンティティそのものである「顔」が、じわじわと他人に模倣され、奪われていく設定がとにかく不気味です。鏡を見たときに、目の前に自分と全く同じ顔をした「他人」が歪んだ笑みを浮かべて立っているような、背筋が凍るシチュエーションが描かれます。

2. 亀井の「境界線のない執着心」の恐ろしさ

ドラマ版でも星乃あんなさんが演じる亀井ですが、原作での彼女のキャラクターは本当に強烈です。「あなたと一つになりたい」と言わんばかりの歪んだ愛と依存心。どれだけ拒絶しても笑顔で距離を縮めてくるストーカー的恐怖は、生身の人間だからこそのリアルな嫌悪感を呼び起こします。

3. 伊藤先生らしい、予測不能でグロテスクなラスト

亀井の「顔を盗む能力」には、ある恐ろしい代償や秘密があります。物語のクライマックス、由美の顔を奪おうとする亀井が迎える「肉体的な怪異(変形)」のビジュアルは圧巻の一言。初期作品ならではの、禍々しくも勢いのあるホラー描写が炸裂します。

読後の感想・魅力の深掘り

SNS時代の今だからこそ、さらに刺さる恐怖 この作品が描かれたのは何年も前ですが、「他人の個性を模倣し、自分がないまま他人の顔(人生)を泥棒する」というテーマは、他人のライフスタイルを簡単に真似したり、他人に同調しすぎたりしてしまう現代のSNS社会にも深く通じる恐怖があります。

ドラマ「ストレンジ」の追加キャスト解禁でも、「なぜ同じ顔の少女たちが現れたのか?」と紹介されており、実写ドラマでこの亀井の「顔が変わっていく不気味さ」がどう映像化されるのか、今から本当に楽しみです。

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